研究実績の概要 |
本研究課題では、国際的な工程間分業の進展下における財貿易を通じた国家間の経済依存関係の特異性を考慮して、通商協定の役割や必要性を理論的に分析している。とくに、通商協定が果たすべき新たな役割が生まれてくるのか、通商協定による互恵的な貿易自由化のあり方はどのように異なってくるのか、について分析している。
2020年度は、本研究の成果の一つである拙稿"Trade Agreements with Cross-Border Unbundling" (Journal of the Japanese and International Economies, 53, 2019, 101033)と似通った理論的フレームワークで環境税の有効性を検討した共同研究の論文が刊行された。 Is Environmental Tax Harmonization Desirable in Global Value Chains? (with Haitao Cheng and Hayato Kato), The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy, 21(1), 2021, pp. 379-416.
なお、本年度の当初の計画では、2019年度に引き続き、交易条件の操作以外の理由で国際的な外部効果が生じるケースを検討し、その外部効果を是正するための通商協定の役割を理論的に分析していく計画であった。しかしながら、COVID-19の影響により、通常通りの研究活動を継続することが難しい状況が続き、本研究課題に費やせる時間が制限されてしまい、計画通りに本研究を進めることができなかった。
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