研究課題/領域番号 |
19K13692
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小橋 文子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (30528922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経済政策 / 通商協定 / 国際的工程間分業 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、国際的な工程間分業の進展下における財貿易を通じた国家間の経済依存関係の特異性を考慮して、通商協定の役割や必要性を理論的に分析している。とくに、通商協定が果たすべき新たな役割が生まれてくるのか、通商協定による互恵的な貿易自由化のあり方はどのように異なってくるのか、について分析している。
COVID-19の影響、ならびに、健康上の理由により、2020年度から2021年度にかけて通常通りの研究活動を継続することが難しい状況が続いた。とりわけ、個人研究として進めている本研究課題に費やせる時間が制限されてしまった。2020年度に引き続き、計画通りに本研究を前進させることができていない状況にあるため、2022年度末に延長申請をすることを検討している。
これまでの研究成果を拡張させる形で、交易条件操作以外の理由で国際的な外部効果が生じるケースを検討し、その外部効果を是正するための通商協定の役割を理論的に分析している。 現在、本研究課題とは別プロジェクトとして非関税措置が貿易に与える影響についての研究を行っているが、本研究で通商協定の役割を理論的に検討するにあたっても(伝統的に主たる分析対象とされてきた輸入関税・輸出補助金とは異なる)非関税措置の特性を考慮した分析の拡張を試みている。工程間分業の進展とともに非関税措置の相対的重要性が高まる中で、これまで行ってきた理論分析を応用して非関税措置をめぐる国際協調のあり方について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響、ならびに、健康上の理由により、2020年度から2021年度にかけて通常通りの研究活動を継続することが難しい状況が続いた。とりわけ、個人研究として進めている本研究課題に費やせる時間が制限されてしまい、計画通りに本研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度から2021年度にかけて本研究課題に係る研究が予期せぬ事由で中断、遅延してしまったので、本課題の最終年度に一年の延長申請をする予定で、計画を修正している。
基本的には、引き続き、交易条件の操作以外の理由で国際的な外部効果が生じるケースを検討し、その外部効果を是正するための通商協定の役割を理論的に分析していく。一つは、工程間分業下での非関税措置をめぐる国際協調のあり方を念頭においた分析を検討している。また、パンデミックによる経済ショックから完全に回復していない中でウクライナ戦争が始まり、世界経済の不確実性が深まる中で、現在進行形の政策議論を、通商協定の役割という視点から本研究課題と絡めて発展させていきたいと考えている。
通商協定の設計のあり方を経済学的視点から検討するにあたって、通商法(WTO法)分野で蓄積された知見と有機的に結びつけていきたいと考えており、関連書籍、資料から勉強させていただきたい。また、当初の計画のように海外出張をすることは叶わない状況が続きそうではあるが、通商政策の応用理論研究の第一人者であるRobert Staiger教授とは、継続的に活発な議論を行ってフィードバックを得ながら、本研究を深めていきたいと考えている。そして、本研究を通して得られた研究成果は、日本国内だけでなく、国際経済学分野の主要な国際会議でも発表し、多様な研究者と交流し議論を重ねるとともに、世界的に知名度のある学術ジャーナルへ投稿し、広く国内外に発信していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響、ならびに、健康上の理由により、通常通りの研究活動を継続することが難しい状況が続き、計画通りに本研究を進めることができなかったため。本課題の最終年度に一年の延長申請をする予定で、計画を修正している。繰り越した研究費については、主に関連資料の購入費用や学会の参加費用、 論文の投稿費用等に使用する予定である。また、もし、当初計画のように海外出張も可能な状況になれば、その出張費用に充てることも検討している。
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