研究課題/領域番号 |
19K13693
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隼人 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (30837703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 比較優位 / グローバル・バリューチェーン / 環境政策 / 政策協調 / 産業連関 / 貿易利益 / 課税回避 / スピルオーバー |
研究実績の概要 |
本年度は主として、比較優位にもとづく貿易理論モデルの解析に取り組んだ。単一の財を扱う伝統的な貿易理論の枠組みから離れ、中間財・最終財の垂直的産業連関を考慮したモデルの上で、比較優位が貿易利益に与える影響を分析した。中間財の輸送費用が小さい場合ほど、比較優位が貿易利益に果たす役割が大きくなることがわかった。比較優位の源泉としてとくに各国の技術水準の違い、並びに環境政策を取り上げ、環境政策を各国で統一することが、世界全体の経済厚生・環境にとって望ましいかを分析した。これらは、当初に想定していた理論モデル・政策課題と異なるものの、比較優位が貿易利益に与える効果を定性的・定量的に研究するという本来の意図に沿うものである。本研究成果を国内外の学会・セミナーで報告し、Discussion Paper として公刊した。 加えて、課税回避と貿易利益に関する研究、海外直接投資受入れがもたらす技術スピルオーバーに関する研究にも取り組んだ。これらも国内外で研究報告で得られた多くの有益なフィードバックを反映させてDiscussion Paper として公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初に想定していたように、各国の比較優位が貿易利益に与える影響について、定性的な研究に取り組むことができた。国内・国外学会の報告や、Discussion paper の公表を通じて、隣接分野の研究者からフィードバックを得ることができ、今後の研究の道筋をより明確にすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、定量的な研究手法の習得・実践を行う予定である。本年度は比較優位の源泉として環境政策を取り上げたが、今後は当初の目的である金融など各種市場の摩擦が果たす役割に注目していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
独立基盤形成支援に採択されたことで、所属大学から総長裁量経費の追加交付をいただいた。これにより研究資金に余裕ができたため、次年度使用額が生じた。これら資金を次年度以降に、研究遂行に欠かせない物品(PC・書籍・ソフトウェアなど)、論文出版に向けた費用(英文校正・投稿費用など)、学会参加費用、リサーチアシスタント雇用などに充てることを検討している。
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