研究課題/領域番号 |
19K13693
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隼人 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (30837703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貿易費用 / 利潤移転 / 多国籍企業 / 企業集積 / 貿易利益 |
研究実績の概要 |
本年度は、初年度から取り組んできた貿易費用と多国籍企業の立地行動にかんする研究を完成させた。多国籍企業が生産拠点と販売拠点を別々の国に立地させる場合、両拠点間の中間財取引価格(移転価格)を操作することで、企業全体として法人税支払いを抑えることができる。高税率国の生産拠点は低税率国への販売拠点に対して移転価格をより高く設定し、逆に生産拠点が低税率国に立地する場合は移転価格をより低く設定することで、高税率国に立地する拠点の利潤を圧縮し、低税率国のそれを拡大させる。また移転価格は販売拠点の販売価格にも影響するため、利潤移転動機ばかりでなくライバル企業との競争も考慮して決定される。貿易費用の低下により中間財取引が容易になるほど、移転価格操作による租税回避はより効果的になる。高税率国から低税率国へ中間財を高い移転価格で企業内輸出することで、企業全体として税支払いを減らすことができ、かつ販売拠点の価格競争力を高めることができる。このため、生産拠点は高税率国、販売拠点は低税率国に集積することになる。この結果は貿易利益の解明を目指す本研究課題にとって本質的である。すなわち、高税率国の税収が貿易自由化とともに減少することになり、貿易の拡大はそれに参加する国々すべてを豊かにさせるわけではないことを意味するからである。研究成果は国際学術誌International Economic Review に投稿し、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度から取り組んできた貿易費用と多国籍企業の立地行動にかかわる研究を出版することができた。しかしそれに続く研究については、新型コロナ感染症の影響により研究成果を発信しフィードバックを得る機会が減少したため、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまでの研究成果を応用・発展させ、貿易利益の定量的な分析・要素市場の不完全性・多数国への分析の拡張に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響により、研究報告の機会が減少したため。次年度には学会参加旅費及び国際査読誌への投稿にかかる費用に支出する予定である。
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