本研究は、産業組織論における構造推定アプローチを用いて、市場メカニズムを用いた環境政策の経済評価を行った。具体的には、排出権取引制度における動学的な企業行動、及び排出権市場における取引費用を考慮した経済評価のフレームワークを構築し、米国の二酸化硫黄取引制度(Acid Rain Program)の政策評価を行った。分析結果から、排出権取引の代替政策として期間を通じて税率が一定である環境税のシミュレーションを行ったところ、「取引費用が存在しない排出権取引制度」という理想的な状況とほぼ同レベルの総生産費用が達成できることがわかった。関連して、製造業のエネルギー増進型生産性に関する実証分析を行った。
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