研究課題/領域番号 |
19K13697
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
定行 泰甫 成城大学, 経済学部, 准教授 (90800920)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘドニック / 空き家 / 事故物件 / アクセシビリティ / 地理情報 / 外部性 |
研究実績の概要 |
ビッグデータ化や情報公開法改定により地理・不動産情報の利用環境が飛躍的に向上し、様々な地域・都市問題に関する実証研究の可能性を大いに広がっている。本研究では、詳細な地理・不動産情報を生かした政策評価のための分析手法を開発し、空き家対策や保育所の最適設置などを含む様々な地域・都市問題の解決に寄与することを本研究の目的としている。 今年度は、2回セミナー報告を通じて研究・論文のプラッシュアップにつとめ、2つの研究成果を出した。 ひとつは、空き家の外部性に関する実証論文であり、海外雑誌Review of Regional Studiesに6月刊行された。本研究では、東京都豊島区が実施した空き家調査の個票データを用いた研究を行った。その結果、半径50メートル以内に戸建て空き家がある賃貸物件は、周辺に戸建て空き家がない物件と比較して、家賃が1.7%程度低いことがわかった。とくに樹木の繁茂や可燃物の放置が確認されるような戸建て空き家の外部不経済の程度は著しく、そういった空き家を1軒除去することで、年間100万円程度の固定資産税の増額が見込めることが試算された。 もう一つは、空き家の発生メカニズムについて、豊島区における空き家や取り引き住宅のパネルデータを用いて、どういった住宅が空き家になりやすいか、またどういった空き家が空き家として長く放置されやすいかについて分析をし、暫定的な結果をディスカッションペーパーにまとめた。来年度は、分析や論文のブラッシュアップにつとめ、学術誌への投稿を目標とする。 また、事故物件についても、事故物件の外部性や立地分析を進めるために必要なデータセットの構築にむけて作業を進めてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果が1つ査読論文として学術誌に掲載されたこと、また、来年度の投稿に向けてディスカッションぺ―パーを執筆できたこと、さらに、データ整理を順調に進められていることから、順調に研究課題を遂行できていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究に向けたデータの精査と、アメニティの空間的影響に関する信頼区間を特定するための分析手法の考案を進める。 空き家の分析では、立地分析およびパネルデータ分析による精査を行う。事故物件の分析では、不動産取引データと事故物件サイトから提供を受けたデータを用いて、事故物件が当該物件及び近隣住宅の資産価値に及ぼす影響を検証し、事故物件の種類・期間・場所などに応じた告知のありかたについて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ちょうど使い切ることは難しいため、端数分の残高が生じている状況です。翌年度と合わせて支出します。
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