本研究課題では、企業の境界問題への経済学的アプローチの中でも特に影響力の強い、財産権理論のモデルを2つの方向で拡張した。第一に、取引途中の環境変化に伴って、適応への追加投資が事後的に必要になるような状況を分析した。第二に、行動経済学的仮定(損失回避)に基づく企業の境界の理論モデルの提示へ向けた試みを開始した(本テーマは、研究課題「企業の境界問題への行動経済学的アプローチの開発」へ引き継がれる)。いずれの拡張についても、標準的な財産権理論の分析では棄却される、共同所有の最適性を示す結果となっている。
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