本研究の目的は,日本における妊産婦を対象とした保健医療政策が,健康行動・心身の健康,及び子どもの健康と成長に与える影響を明らかにし,具体的な政策提言を行うことであった.しかし,新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響によって,そのサービスがほぼ停止したことから,2020年1月以降の研究は,コロナ禍の社会的制約や公的サポートの低下などが母親に与えた影響を自然実験と見立てて分析を行った.これらから明らかとなったのは,妊産婦に対する公的サポートの低下は当事者の精神的健康に悪影響を与えることであり,特に,専門家を含めた人とのつながりの重要性であった.
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