今年度の研究実績として、研究計画書に記載した研究に関する関連研究を行ったことが挙げられる。その主な実績を、以下3点に要約している。 (1)漁業における譲渡可能個別漁獲割当制度では、違法に割当枠を増やそうとするレントシーキングが、資源管理上の問題となっている。この点に着目して、貿易の開始がレントシーキングや厚生に与える影響を分析した論文が、査読付き国際学術誌であるFisheries Researchに掲載された。この研究を出版する際、編集長より、その分析手法をオープンアクセスとして広く周知することが提案された。この提案を受け、(1)の分析手法やその改善点などを詳述した論文が、査読付き国際学術誌であるMethodsXにおいて、大幅修正の上で再審査(Major revision)の判定を受け、現在、改訂稿が審査中である。 (2)論文を新たに2本執筆し、日本経済学会で報告した。今後、査読付き国際学術誌への投稿を予定している。他にも、3つの関連研究を、査読付き国際学術誌に投稿中である。 (3)研究業績が海外でも知られるようになり、外国人研究者との共同研究を行うようになった。その結果、4本の共著論文に取り組み、その内、2本は査読付き国際学術誌において審査中である。他にも、コンコーディア大学ジョン・モルソン・スクール・オブ・ビジネスより、持続可能な観光に関する査読付き分担執筆の依頼を受け、提案書が受理された。現在、出版に向けて、担当原稿の審査中である。 全研究期間を通して、査読付き国際学術誌に6本の論文が公刊された上、累計24件の引用や被引用件数に関する受賞を得た。その結果、国際共同研究に取り組むようにもなった。国際ラジオ放送による取材に加えて研究者と大学院生を対象にした専門書の分担執筆など、研究成果の社会発信を行うことができた。以上のことから、当初の計画以上の成果を挙げたと言える。
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