研究課題/領域番号 |
19K13707
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
加藤 真也 山口大学, 経済学部, 准教授 (00737728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国の廃プラスチック輸入禁止措置 / 応用一般均衡分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2017年末に実施された中国の廃プラスチック輸入禁止措置の日本に対する影響を応用一般均衡分析を用いてシミュレーションすることにある。 今年度は、中国の廃プラ輸入禁止措置が日本に与える影響の概要をまとめた論文(以下)を山口大学の紀要に投稿した。 加藤真也(2020)「プラスチックごみ問題と中国の廃プラスチック輸入禁止措置」East Asian Forum、第37号、2020年3月 この論文の中で、まずプラスチックごみ問題の危険性などの概要を述べた上で、それが廃プラ輸入禁止措置と関連しているの理由について取り上げた。さらに、中国の廃プラ輸入禁止措置による日本への影響として「処理業者や自治体の廃プラの一時保管量の増加」「廃プラ処理費用の値上げ」「廃プラのリサイクルのための国家予算の増加」「リサイクル工場の新設」などが挙げられることを指摘した。そして、最後に世界のプラスチックごみ問題の対応を確認し、海洋プラスチックに対する国際協定に関して説明した。 次の段階として、中国の廃プラ輸入禁止措置の日本に対するこれらの特徴を良く捉えた経済モデルを作成する必要がある。まずは時間の流れを考慮しない静学的応用一般均衡モデルを作成し、廃プラ輸入禁止措置が日本のマクロ指標や最終処分場の廃棄物ストックに与える影響をシミュレーションする必要がある。現時点では、研究協力者の熊丸隆博隆氏と応用一般均衡モデルを作成している最中にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山口大学の紀要であるEast Asian Forumに「プラスチックごみ問題と中国の廃プラスチック輸入禁止措置」というタイトルで、中国の廃プラ輸入禁止措置が日本に与える影響についての概要を論文としてまとめ、発表することができた。 2020年度はこの論文で示した中国の廃プラスチック輸入禁止措置の特徴を捉えた応用一般均衡モデルを作成することを目標としており、現在はそのモデル作りの最中であるので、おおむね順調に進展していると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、一時点におけるシミュレーションである静学的応用一般均衡モデルを作る必要がある。 中国の廃プラスチック輸入禁止措置は、時間が経つにつれて日本の最終処分場のひっ迫をもたらし、リサイクル量を増やし、それにともなってリサイクル費用を変化させる可能性がある。このように時間の動きを捉えた動学モデルを作成し、シミュレーションする必要があるが、まずは基本的なモデルである静学モデルを作成し、最終処分場のひっ迫やリサイクル費用の変化がないとした上での、輸入禁止措置の影響を分析していくこととする。 これを踏まえ、2020年度は静学モデルを作成、2021年度には動学モデルを作成、2022年度にはそれらをブラッシュアップさせていくこととしたい。
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