研究課題/領域番号 |
19K13708
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
朝日 亮太 九州産業大学, 商学部, 准教授 (10712359)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低費用航空会社 / 提携 |
研究実績の概要 |
本年度は、ATA航空とサウスウエストの提携に焦点を当て分析を実施した。この提携の特徴はLCC同士の提携という点である。結果として示されたのが、提携により競争の程度が弱まったということである。この2社は、LCCとして激しい競争を展開していたため、提携後はその競争が弱まったものと考えられる。そして、同路線で対峙するライバルも一時は様子を見たものの、競争的行動を弱め、路線全体で競争が弱まったものと考えられる。また、ATA航空が2004年と2008年に経営破綻した点を踏まえると、経営を安定化させるためにATA航空は非競争的行動をとりやすい環境にあったものと推察される。 コロナ禍後の航空輸送業界に対する示唆も今回の結果から得られる。新型コロナウイルス感染症の拡大により世界各地の航空会社が大きな損失を受けた。その立て直しを目指し、航空会社間での提携が今後、増加する可能性が考えられる。今回の結果を踏まえると、LCC同士が競争を激しく行っていた路線内において、そのLCC同士が提携すれば、利用者が利便性の向上と引き換えに、運賃の上昇に直面する可能性が生じる。そして、消費者余剰が減少する可能性もある。こうしたケースを防ぐため、規制当局は提携を行う航空会社の特性に注視する必要があるであろう。 今後の展開として、分析を提携が終了した時点までではなくその先についても行う必要がある。今回は提携が実施された路線において提携解消後を分析の対象としていない。新型コロナウイルス感染拡大期とその後の終息期を見据え、航空会社間で提携の実施と解消が多くなされる可能性も踏まえながら、長期的な分析に取り組む必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により移動が制限され、情報収集の機会が限られたため、外部の意見を聞くことができなかった。分析結果については、論文にある程度まとめることができたため、2022年度には、研究をより進めることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
データ作成や分析手法について準備はできている。今後は、成果についての再検討や意見収集が中心となる。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大状況により進捗が影響を受ける可能性があるが、研究報告だけでなく、査読プロセスを通じて、研究の質の向上を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、情報収集の機会が制限され、研究の進捗が遅れたため
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