研究課題/領域番号 |
19K13710
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
張 俊超 統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 特任助教 (80814409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 操作変数 / 労働供給 / 出産・育児 |
研究実績の概要 |
日本では政府統計ミクロデータの利用に制限があり、女性雇用における政策立案に必要なエビデンスが極めて少ない。本研究では、国勢調査の個票データを用いて、自然実験に基づく操作変数を用い、(1)出産・育児が女性の労働供給に与える因果効果を明らかにし、(2)出産・育児の異質性のメカニズムを解明した上で、(3)女性の活躍推進のための政策的インプリケーションを示すことを目的としている。同時に出生率と女性の労働力率の増加可能性について検討し、少子化社会におけるより効果的な出産・育児支援策を提言する。
出産・育児が女性の労働供給に与える因果効果を明らかにするのが困難なのには、2つの理由がある。第1に、変数脱落である。観測できない要因が出産・育児行動と労働供給の両方に影響を与えていると推測されるため、単純な最小二乗推定(以下、OLS)では下方バイアスがかかってしまうと考えられる。例えば、他の条件を一定にしたとき、出産・育児行動に対する選好の強い女性は、他の女性と比べ、平均的に一生に産む子どもの数が多く、働く確率が低くなると考えられる。つまり「出産」と「女性の労働力率」との間にある見かけ上の相関は観測できない選好による可能性がある。第2に、逆因果効果である。出産・育児が女性の労働供給を減らすように、逆に、仕事のために子どもをもたない、子どもの数を減らすという逆因果関係である。女性が比較的働きにくい日本では、逆因果効果を考慮しないモデルは政策分析上有益ではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ構築、モデルの推定、異質的効果の探索は計画通り実施しました。ただし、オンサイト施設で公的ミクロデータを使用するため、分析結果の持ち出しには審査がかかる。
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今後の研究の推進方策 |
これからは分析結果をまとめて、論文を国際誌に投稿する予定があります。2020年度の目標は因果的メカニズムの検証をし、計量的に直接効果と間接効果を分離すること。さらに、推定値を先行研究と比較し、異質的な効果の原因について議論します。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際比較のためにアメリカ・中国の国勢調査も扱うので、申請者の研究室に海外データ分析用のワークステーションを設置する。
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