本研究は出産・育児が女性の労働供給に与える影響およびその異質性のメカニズムを考察した。具体的に、(1)新しい推定方法を提案し、脱落変数と逆因果効果の両方を考慮する、(2)大規模なデータで出産経歴別、地域別、家族構成別の分析を行い、(3)海外データの制限で解明できなかった出産・育児の異質性を日本の統計データによって考察した。日本では、地域毎に異なる出産・育児支援政策の効果が政策立案者の関心であるため、本研究は市区町村レベルの政策変数を国勢調査の個票データにリンケージし、出産が労働供給に与える異質的な効果が政策の地域差によるものかどうかを確認した。
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