研究実績の概要 |
本研究の目的は、タバコ税の増税と製品規制政策の効果を評価・予測し、将来の保健政策への含意を導き出すことである。この目的のため、日本における大規模消費者購買データを用いて、タバコ製品が消費に及ぼす影響を「Affordability」と「Availability」2つの側面から分析する。2019年度は当初計画の通り、「Affordability」に関して研究を中心とし、喫煙行動の社会経済的差異の変化を調査した。具体的に、タールとニコチンの摂取量の測定値をもとにタバコの購買行動を分析した。現在進行中の研究では、タバコ購買量の教育歴による違いを詳細に分析し、教育歴の異なるグループで、タバコの本数だけでなく、製品選択にも大きな違いが見られる、すなわち、低学歴者は一本当たりのタール・ニコチン量が多い製品を多く購入していることを発見した。その結果が、国際誌「Preventive Medicine」に掲載された。また、2019年度に「Availability」に関して実証分析も進めており、東日本大震災による一部のタバコ製品の供給停止を利用し、製品規制がタバコ製品選択と消費に与えた影響を分析した。得た研究結果を「Impact of Choice Set on Tobacco Purchasing: Evidence from a Natural Experiment」として以下の3つの国際会議(iHEA,Annual AHES conference, WEHIB)で発表した。
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