本研究は政策への民意の反映メカニズムを解明することを目的とするものである。ライフサイクル仮説の検証では、英国の長期パネル調査のデータを使って、結婚や家族形成等のライフイベントが投票率に有意な影響を与えることを確認した。特に、結婚、子供、定住性、持ち家の4つの要素が投票の誘因として重要である。アフリカの政治経済モデルの開発では、民主主義の度合いと経済成長のメカニズムを明らかにし、内戦の収束と経済成長の進展の鍵となる要素を特定した。そして、長期内戦を経験したことのある国々をシミュレーションし、平和状態が実現した場合、経済厚生が30~80%、経済成長率が2~8倍程度改善することを示した。
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