研究課題
本研究では、男女間の競争に対する好みの違いを説明できる要因を経済実験を行うことで明らかにした。女性の管理職比率が低いことの行動経済学的説明として、競争選好の男女差に着目されている。競争選好の男女差について、社会・制度的要因、生物学的要因など、様々な観点から分析が検討されている。競争選好の男女差の源泉を明らかにすることは、どのような制度を設計することで、女性の社会進出が促進されるかを明らかにすることができるため、社会的に重要である。本年度は当初より実施してきた競争相手の環境的要因に着目する研究の拡張実験を行った。以前の実験では、競争相手の性別が不明の下、相手に対する集団意識が競争選好に与える影響の男女差を検証した。現実には、競争相手が異性であることが多い。そのため、本年度の実験では、男女1組のペアとなっている上で、最小集団パラダイムを用いた集団意識の形成し、同じ集団に属する内集団と競争するか、異なる集団に属する外集団と競争するかという環境が競争選好に影響を与えるかを検証する経済実験を実施した。男性については、内集団相手よりも外集団相手のほうが競争へ参加しやすいという結果が得られた。女性についてはも同様の傾向が確認されたが、統計的に有意ではなかった。この結果は、競争相手の性別が不明の下で行った経済実験と同様の結果を示している。オキシトシンが競争選好に与える影響を検証したKurokawa et al. (2020)と合わせて、本研究では、競争選好の男女差について、生物学的要因並びに環境的要因を明らかにすることができた。
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