研究実績の概要 |
本研究では、少子高齢化のもとでの年金制度および財政の維持可能性に関する分析を行った。本年度は研究課題の最終年度であり、これまでに行った研究の精緻化と、研究成果を周知するため査読付き学術雑誌への論文の投稿を行った。具体的には、当該研究分野に精通されている専門家の先生方からいただいたコメントを受け、研究の精緻化および一般化に取り組んだ。 公的債務が蓄積している経済を分析し、国によって財政政策のもたらす効果が異なることを示した実証研究があり、その経済現象の理論的なメカニズムについての研究を進展させ、精緻化を図った。研究の内容は学術論文“Public Investment, National Debt, and Economic Growth: The Role of Debt Finance under Dynamic Inefficiency”としてまとめ、国際学術雑誌に投稿した。現在は修正要求にもとづき、再投稿の準備を進めている。 他方で、人口の高齢化と賦課方式の年金制度を考慮した研究を進めることで、政府が公的教育への支出を行う政策を仮定する場合には、人口の高齢化が進展したとしても一人当たりの年金額を減額することなく賦課方式の年金制度を維持できる可能性があることを理論的に示した。また、所得税率と経済成長率との間に逆U字型の関係が生じることを明らかにし、政府が公的教育への支出を政策的に行う場合には、特に将来世代の厚生水準に対して正の効果を持つことを明らかにした。研究成果は“PAYG pensions, public education, and population aging”としてまとめられ、国際学術雑誌に投稿中である。
|