本研究では、少子高齢化のもとでの年金制度および財政の維持可能性に関する分析を行った。分析の結果、次の点を明らかにした。(1)政府が公的教育への投資を十分に行うことによって、たとえ人口の高齢化が進展したとしても一人当たりの年金給付額を減らすことなく賦課方式の年金制度を維持することができる可能性がある。(2)有限視野の家計を想定した経済を分析することによって、人口の高齢化が進展した場合、経済成長率を最大化する所得税率の水準を引き上げると同時に、財政の黄金律の財政ルールに従うため、公債残高/GDPの比率が上昇することを示した。
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