本研究は,企業の融資契約における転換社債の役割,および転換社債が用いられる際の融資契約のあり方に関する経済分析を課題としている.本研究によって,主に以下のような成果を得ている.一つ目として,スタートアップ企業などにみられる,企業に必要な初期資産が少ない場合において,転換社債が有用であることを示した.二つ目として,経営者による過剰なリスクテイクが危惧される場合において,転換社債の利用がこれを軽減する可能性があることを示した.また,関連して,市場規模に不確実性を伴う寡占市場における,企業の競争戦略に関する分析を実施した.
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