研究課題/領域番号 |
19K13754
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小笠原 浩太 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00733544)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人的資本 / 公害 / 人口動態 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究課題に係る統計解析に用いるデータベースの構築を行い予備的な分析を行った。第一に、市町村別の人口動態統計および鉱山採掘に関する複数の史料を電子化した。電子化が必要な箇所が多かったため、研究補助者を組織して効率的に作業を進めることを心がけた。これにより、1920年代から1930年代にかけての日本における出生状況や乳幼児の健康状態および鉱山の時空間分布を把握できるようになった。第二に、構築したデータベースに含まれる情報を国土数値情報(国土交通省)を用いてジオ・コーディングした。この段階では、解析に用いる複数の地理情報に係るレイヤを付与している。これにより、データベースに含まれる変数の時空間分布を可視化できるようになった。第三に、これら一連の作業から構築したデータベースを用いて予備的な統計解析を行い、国際会議報告用のショートペーパーをまとめた。また、関連する課題について、国際会議において2件の報告を行った。さらに、London School of Economics and Political Scienceに滞在して当該分野の専門家複数名とディスカッションを行い、有意義なコメントを得た。その際、研究課題に関連する国際共同研究について、統計解析班のリーダーとして招待を受けるなどの成果も得た。第四に、査読付国際学術誌より改訂要求を得ていた複数の論文について改訂作業を行い、採択された。その結果、年度内に合計5本の論文を査読付国際学術誌に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジオ・コーディングに用いる格子の識別に相当な時間を費やしたが、研究補助者を組織して作業を効率化したことで、データベースの構築作業は予定通りに進んだ。また、年度内に合計5本の論文が国際学術誌に掲載されたことは、当初の想定を上回る成果であると言える。一方で、国際会議では当初3件の報告を予定していたが、このうち1件がCOVID-19のパンデミックに伴い公式に延期となった。したがって、年度内の国際会議報告は合計2件となった。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、構築済みのデータベースを用いて、本格的な解析作業に取り組む。それと並行して、関連する記述資料の準備を行う。解析に用いる情報を追加する必要がある場合に備えて、引き続き研究補助者の組織が行える体制を整えておく。国内関連施設への調査については、必要がありかつ状況が許せば行う。第二に、予備的分析では横断面方向の変動を推定に利用する統計モデルを中心に分析を行ったが、今後は時系列方向の変動に焦点を当てた分析も追加する。第三に、これら分析から得られた結果を論文にまとめてワーキングペーパーを作成し、国際会議や研究滞在を通じて論文の質を向上することに努める。第四に、既に査読付国際誌から改訂要求を得ている論文については改訂作業を行い、採択まで持っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のパンデミックにより、研究報告を予定していた査読付国際会議が公式にキャンセルとなってしまった。これにより生じた差額は、次年度中に振替開催を予定している国際会議への参加費用として用いる。
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