研究課題/領域番号 |
19K13762
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
西崎 純代 立教大学, 経済学部, 特任教授 (30802110)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 広島 / 原子爆弾 / 戦後復興 / 経済復興 |
研究実績の概要 |
2021年度は前年に引き続き、本務校での研究活動を中心に、収集済みの資料の分析と論文執筆、オンライン学会出席、オンライン上での共同研究を行った。 【資料分析とデータ整備状況】広島市の経済復興状況を示す広島市発表の統計データの整理を継続している。また戦後初期の職業安定行政関連資料を用い、雇用状況変化の面から、戦後復興の進展状況を分析している。2020年度から見合わせていた日本銀行広島支店の資料調査は、2022年夏季に予定している。日本銀行資料の活用により、中央銀行の視点を借りて、復興の進展状況分析をさらに進めていく。 【論文執筆状況】ケーススタディの一つとして、広島県においても多数見られた南満州鉄道引揚者が、戦後復興の中で職業基盤を築いていく状況を分析した。当該論文は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのワーキングペーパーとして発表した。 【研究報告実績】2021年8月、一橋大学「満洲の記憶研究会」において、上記、満鉄引揚者の戦後の転職状況を報告した。2022年2月、国士館大学において、戦後の労働安定行政の柱の一つであった繊維産業の復興・生産拡大状況を報告し、労働市場の復興について討論を行った。 【共同研究(継続中)】広島市と同様、戦争で壊滅的な被害を受けた沖縄県の経済復興に関し、琉球大学の研究者と共同研究を行っている。具体的には、戦後、台湾、満洲、中国から引揚げた民間人の半数以上が参加したと考えられる「引揚者在外事実調査票」を用い、戦争で失業状態になった人々の再就職過程の比較分析を行っている。これにより、労働市場の復興という観点から、広島市の経済復興過程の独自性、那覇市等沖縄県内の経済復興過程との比較を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、本務校の授業は年間を通してオンラインで行った。日本に入国できない留学生が参加する授業を引き続き担当し、授業準備と学生対応に注力することになった。結果として研究が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は課題最終年度に当たり、資料分析、論文・学会発表のスピードを上げて取り組んでいく。また、研究会・学会がオンライン化していることを活かし、第二次世界大戦後のヨーロッパの経済復興の専門家と、積極的に研究交流を行う。これにより、単独で扱われがちな日本の経済復興を、世界的な文脈の中で位置づけていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大により、日本銀行広島支店での資料調査等を延期し、次年度使用額が生じた。日銀広島支店での調査は、2022年度の新型コロナの感染状況を見ながら行っていく。
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