研究課題/領域番号 |
19K13763
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
定藤 博子 阪南大学, 経済学部, 准教授 (40804282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経営史 / 移民史 / 炭鉱 / フランス / ポーランド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、両大戦間期フランス北部炭鉱の外国人労働者の就労状況や生活実態の考察を通して、産業発展と労働力の再生産の関係を明らかにすることである。全体的な流れでは、両大戦間期の前半1920年代、フランス炭鉱業はポーランド人労働者の採用を組織的に行っており、ポーランド人労働者の割合は3割を超えたときもあった。また、彼らの技術力は当時から高く評価された。これに対し、1930年代の大恐慌期には解雇や送還が行われた。しかし、個々人の能力や就労環境に注目すれば、解雇や送還は外国人であることを理由にした必然の結果ではなかった。このようなポーランド人労働者に注目することで、産業もしくは社会を照射することが本研究の目的である。 研究計画は、資料収集、資料のデータベース化、数量的分析である。資料は労働者の個票や炭鉱会社の内部資料の予定であった。具体的には、①資料収集、②データベース作成、③分析、④研究成果の発表である。 2020年は、新型コロナウイルス蔓延のため、渡仏しての資料収集や発表を予定していた国際学会が開催されなかった。そのため、①資料収集や④研究成果の発表についての実績はない。しかし、これまで収集した資料をもう一度見直し、それらをデータベース化する作業を進めた。さらに、それらの分析を行った。その結果は2021年に延期された国際学会で報告予定である。 上記作業を通じて、外国人労働者を含めたフランス北部炭鉱労働者の職種と給与、また熟練形成と労働環境の変化の関係、また国際情勢や景気の労働現場への影響などについて、分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行により、渡仏による資料収集が不可能であった。また国際学会等も延期された。そのため、新しい資料の入手、研究成果の報告は不可能であった。そのため、現在ある資料のデータベース化、分析を進めているが、当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度と同じく、資料収集が行えないことは研究推進における最大の問題である。しかし、本年は昨年度に進めていたデータベース化・分析を研究発表するとともに、日本など他国の炭鉱史研究との比較の機会を得た。これらの蓄積と機会を利用し、当初の目的である産業発展と労働条件の変化について、考察を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルスの流行により、予定していた渡仏がかなわなかった。また、発表を予定していた国際学会も延期となった。そのため2020年度の支出はほとんど必要なく、2021年度に繰り越すことになった。 今後は、国際学会での発表準備や研究関連書籍、機器備品類の購入を行う予定である。
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