本研究は製造業における人的要因を考慮した検品ツールの導入とその効果の検証をテーマとする3年間課題である.検品対象は歯科治療に用いるドリル部品である.研究ステップは6ステップに分かれており,各年2ステップずつ進める予定となっている.3年次は「ステップ5.ステップ4で作成した自動検品ツールを使用した検品を一定期間行い,検品履歴から作業者ごとの導入の効果を解析し,技能評価をする」「ステップ6.作業者の技能評価をもとに,作業者の人的要因の視点から作業自動化の効果をシミュレートする指針の提案を行う」に取組んだ.コロナ禍により実際の作業現場での検証が行われなかったため,サンプルデータを用いた検品ツールのシミュレーションと学生を被験者とした作業者訓練ツールの効果測定を行った. 具体的には,前年度の実績によるサンプルの品質を担保するためのラベル付け機能の運用と,機械学習による判別モデルを作成する際の画像処理手法の改善によって自動検品支援ツールの精度向上を実現した.作業者訓練ツールに関しては,訓練履歴を確認する機能の追加を行い,被験者を前年度の7名から23名に増加させたうえ,被験者をグループ分けして訓練に使用するサンプルデータを変えて複数回の実験を行うことによって作業者のツール導入効果(検品精度および速度の向上)と,対象サンプルの特徴の関係を調査した.研究実績は年度内の報告は国内学会1回,国際会議2回の報告および論文1件の投稿を行った.
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