研究課題/領域番号 |
19K13767
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀典 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (70588293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 組織変革 / 戦略転換 / 組織アイデンティティ / センスギビング / センスメイキング |
研究実績の概要 |
本研究の基本的な目的は、組織の迷走につながる変革とはどのようなものか、そして、迷走が生じる背景にはどのような要因が存在するのかを明らかにすることである。変革としては、組織マネジメントの方法の変更から、戦略転換までを含む。その目的のために、変革を行う際の組織アイデンティティの影響するのかを検討する。当該年度ではそのために必要となるデータの検討および分析を実施した。 また、昨年度から継続して、分析フレームワークの精緻化のため戦略変更、組織変革に関する詳細な先行研究レビューを行った。これらの分野は研究蓄積の多い分野であり、近年の研究動向の中でも戦略やマネジメントの議論をするうえで中心となるようなテーマであると位置づけられていることから、十分に既存研究の知見を整理することが必要となると考えている。特にその中でも、昨年度までに明らかになった点に加え、戦略転換の主体である企業家の認識、およびミドルマネジャーの役割といった点に注目した。これらの要因も本研究の分析においても変数として組み込まれている。 加えて、戦略転換に関するフィールド調査を継続して行っている。そこからは、他社製品との差別化の軸として、自社の歴史に基づく組織アイデンティティや中核となるメンバーのキャリアに基づくアイデンティティが活用されていることが明らかとなった。さらに、その新規事業差別化の軸は、既存事業との技術的類似性などだけで単純に決まるものではなく、より複雑なメカニズムで設定されていることも明らかになった。 これらの研究成果は、すでに投稿中のものも含め、次年度での公表を予定している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでには個別の組織における変革の要因、つまり内部要因を中心に検討してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症という社会全体に影響を及ぼす変化が生じている状況下であることから、変革につながる外的要因、特に大きな制度的な変化や社会的変化が生じた局面の検討も重要であると考え、それらの要因についても検討している。 そのために、これまでの本研究のアプローチに加えて、より時間的な射程を広げた研究を行っている。これらの知見も今後の研究に反映することで、より新規性の高い結果が得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き分析フレームワークの精緻化やデータの収集に努める。とりわけ、個別企業の視点だけでなく、社会全体に影響を与えるような環境変化が生じたっ場合の減少という視点を加える。また、引き続き成果の一部を学会報告や論文の形で公表することを目指す。 ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の調査が困難になる可能性もある。そのため、当初予定していた調査に加えて、オンラインでのインタビューや文献調査などを加えることで、データの収集を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外の学会参加を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでの開催が主となったため、想定していた旅費等が発生しなくなったため。 本年度も同様の状況が続くことが予想され、またデータの収集などにおいて想定していたのとは異なる方法を用いる必要も生じていることから、それらの使途を検討する。
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