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2021 年度 実施状況報告書

シェアリング・エコノミーに関する非市場戦略の実施プロセス:ライド・シェアを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K13770
研究機関神戸大学

研究代表者

遠藤 貴宏  神戸大学, 経済経営研究所, リサーチフェロー (20649321)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードシェアリングエコノミー / ロビー活動 / 非市場戦略 / 正当性 / 既存参入企業 / 新規参入企業 / 反対
研究実績の概要

本研究は、ライドシェアに関する非市場戦略の実施について焦点を当てるものである。世界的にみてみると、Uberという企業がこの種のサービスを担う代名詞となっている。ただし、Uberの受容は世界的にみても賛否両論あるものである。特に、Uberのサービスを提供する運転手は、労働者なのか、それとも請負者なのかという点が争点となってきた。労働者であるならば、ライドシェアのサービスを提供する企業が、さまざまな点で労働者に対して責任を持つことになる。それに対して、請負者であるならば、ライドシェアのサービスを提供する企業は飽くまでプラットフォームを提供するのみで、実際のサービスを提供する運転手がさまざまな「自己責任」を持つことになる。

本年度は、コロナ禍で柔軟な対応をすることにより、本研究課題を多角的に検討する上で、非常に有用であったと言える。こうした知見は、代替エネルギーに関して行ってきた、本課題とも関連する研究(新規参入企業と、既存参入企業の関係性を検討するもの)に関しても、「考える糧」を提供するものであった。つまり、新規参入企業の正当性は、既存参入企業のビジネスへの影響の大きさの程度に関して、その関係がどのようなものか(補完、敵対、非関連など)に依存するということが浮き彫りになった。

具体的な成果としては、2つが挙げられる。第一に、日本におけるライドシェアとフードデリバリーに関する正当性に注目した論文の原稿に関して、もうすぐ完成する予定である。第二に、本研究の知見が大きく寄与した代替エネルギーの論文が、第一線の国際ジャーナルにおいて条件付き採択(conditional acceptance)となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

コロナ禍で対面のインタビューを行うことは困難が伴ったが、柔軟な対応を行った。第一に、関連する二次資料として考えられるものを幅広く収集し、またそれらを系統的に分析するために十分な時間を投入することができた。

第二に、日本におけるライドシェアに関しては、既存参入企業の反対が際立つものであった。それに対して、コロナ禍で急拡大したフードデリバリーに関しては、有力な既存参入企業が必ずしも存在しておらず、反対もマイルドであったため、新規参入企業は市場を拡大していった。

こうした柔軟な対応を行うことで、当初想定していた範囲を超えてデータ収集・分析を行うことができた。そのため、当初想定していたような知見以上のものが導出されたと考えることができる。ゆえに、「当初の計画以上に進展している」と言えよう。

今後の研究の推進方策

今後は、論文の完成のために執筆を進めていくことを考えている。執筆した論文は、第一線の国際ジャーナルに投稿することを考えている。実際に掲載に至るまでにはまだ時間を要するだろうが、当初考えていた論文よりも、幅という意味でも、深さという意味でも、想定以上のものである。幅という意味では、ライドシェアだけではなく、フードデリバリーに関しても射程に入れることが可能となった。また、深さという点では、新旧企業のあり方について、補完、非関連、敵対といったような可能性を視野に入れて分析ができることになったことが挙げられよう。

論文化を進める一方で、国際比較の方策を探ることとする。特に2022年度は国際学会が対面で開催される予定であるので、ネットワーキング活動を再開する予定である。

次年度使用額が生じた理由

二時資料の収集・分析に大きな焦点を当てたので、コロナ禍での研究費の執行は当初の予定よりも大幅に少ないものであった。

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公開日: 2022-12-28  

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