研究課題/領域番号 |
19K13773
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 智明 京都大学, 経営管理研究部, 特定研究員 (30812143)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 起業 / 省察 / 二人称的アプローチ / 共愉性 / 話すことができないもの / 失敗 / 学習 / 人工物 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、起業についての二人称的アプローチを経営学分野の研究方法論として位置づけ、経営現象を解明するためのアプローチとしての有用性を検討することである。この目的を達成するために、3つのことを行なう。第1に、スタートアップの創業者との対話の実施とその対話の記録を活用した展示物の制作である。第2に、既存のアプローチで起業を十分に捉えられないことを示した上で、二人称的アプローチを経営学分野の研究方法論として位置づけることである。第3に、二人称的アプローチに基づいた起業に関する概念的枠組みの構築である。 本年度は、当初の計画通り、前2つを中心に取り組んだ。 (1)株式会社SOUSEI Technologyの代表取締役の乃村一政氏との対話である「ことばの交換」は、2011年4月21日から2020年3月までに計46回を実施した。「京都大学アカデミックデイ2019」では、対話の逐語記録や資料を活用した展示を行ない、「企業家のようなもの」の略年譜や語録のフォーマットを作成した。 (2)「起業家と研究者との共愉的な関わり合い」を主題にしたペーパー・ディベロップメント形式のカンファレンス(第9回「アントレプレナーシップ・コンファランス」)での報告を行なった。二人称的アプローチを経営学分野の研究方法論と位置づけることで、起業家と研究者との関わり合いで得られる資料をデータ化し、そのデータから起業に関する中範囲の理論を構築できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は(1)スタートアップの創業者との対話の実施とその対話の記録を活用した展示物の制作、(2)経営学分野の研究方法論として、二人称的アプローチを検討することを計画し、いずれも進捗させられた。したがって、本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は「スタートアップの創業者との対話の実施とその対話の記録を活用した展示物の制作」と「経営学分野の研究方法論として、二人称的アプローチを検討すること」に加えて、「二人称的アプローチに基づいた起業に関する概念的枠組みの構築」に着手し始める計画である。 本研究の進捗状況は、調査協力者である乃村一政氏が経営するスタートアップの株式会社SOUSEI Technologyの経営体制や置かれている状況に影響を受けることになる。起業家と研究者が互いに配慮しながら、関わり合う体制の構築に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた備品の購入を翌年度に行なうこととしたため、その分は繰り越しすることとなった。
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