研究課題/領域番号 |
19K13783
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
菊入 みゆき 明星大学, 経済学部, 教授 (10760598)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モチベーション伝播 / 労働価値観の類似性 / 関係性要因 |
研究実績の概要 |
本研究は,職場におけるモチベーション伝播に関し,発信者の個人要因,発信者と受信者の関係性要因,組織の環境要因が及ぼす影響を明らかにし,「職場におけるモチベーション伝播モデル」と,伝播の発信者の特徴を測定する「モチベーション伝播性測定尺度」を作成することを目的とする。2019年度は研究1を終了し、研究2に着手した。 研究1個人要因と関係性要因に関する探索的検討においては、組織の従業員10名に対する半構造化面接調査を実施した。回答者に「モチベーションが高いと思う同僚」を思い浮かべてもらい,その同僚について,モチベーションが高いと推測した内容,行動の特徴を尋ねた。得られた回答データを意味内容によって分類し集計した結果、発信者と受信者の仕事に関する価値観の類似性がモチベーション伝播に関わることが示唆された。価値観の内容としては、顧客志向、組織への貢献、自己の成長などが抽出された。 「研究2 個人要因と関係性要因が伝播に及ぼす影響の実証的検討」においては、研究1の結果に基づき、質問紙を作成し,企業組織で働く20歳から60歳までの男女515名を対象に,質問紙調査を実施した。回答は,調査会社のモニターに依頼した。回答者に,「モチベーションが高いと思う同僚」を思い浮かべてもらい,その同僚について,モチベーションの特徴,仕事に関する価値観,回答者との類似性について尋ねた。尺度は,「同僚は,難しいことでも自分なりに努力してやっている」(同僚の達成動機の推測)(菊入・岡田,2014),「仕事を通して所属する部門や組織へ貢献すること」(労働価値観尺度)(江口・戸梶, 2009),「同僚と自分には,その行動や考え方に似た点がある」(関係性)等を使用した。伝播の因果関係を正確に把握するため,2時点で同じ質問紙調査を行い,交差遅延効果モデルを用いて分析することとした。現在データ分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、研究1および2を終了する計画であったが、研究2の実査を行った段階で年度終了を迎えた。研究1において、調査協力者を見つけることに予想外を時間を要したことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2019年度に積み残した研究2のデータ解析と知見の整理、考察を行い、引き続き「研究3 モチベーション伝播発信性尺度の開発」に取り組む。2021年度は「研究4 組織の環境要因が伝播に及ぼす影響の検討と「職場におけるモチベーション伝播モデル」の作成」に取り組み、全研究計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の若干の遅れにより、研究2の質問紙調査のスケジュールが2020年4月初旬にずれ込んだ。このため、質問紙調査費用\800,000が2020年度に繰り越された。 2020年度に、研究2の質問紙調査を終了し、また研究3の質問紙調査も行うため、調査費用\800,000(予定)を使用する。2021年度には研究4の質問紙調査を行うため、調査費用\800,000(予定)を使用する。
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