研究成果としては、主に組織不正を判別する際に法的基準のみならず、道徳的基準(正統性-異端性)や外的基準(正の外部性-負の外部性)を通じて複数の判別基準を設けることによって組織不正を多角的に明らかにしていくという視点である。本研究では、実際に燃費不正事例を分析したところ、三菱自動車やスズキは違法な測定方法を用いているという点で違法性はあったものの、その測定方法がそもそも現場の実践とは乖離した測定方法であったという点や両社が独自に用いている測定方法は海外では伝統的に受け入れられている方法であることなどが分かった。このような結果は、組織不正の従来の捉え方に対して一石を投じる意義があると言える。
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