研究課題/領域番号 |
19K13789
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
石橋 健 関西大学, ソシオネットワーク戦略研究機構, 委嘱研究員 (30749221)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 顧客動線 / アイトラッキング / 店内販促 / 消費者行動モデル |
研究実績の概要 |
バーチャルリアリティ(VR)技術を用いて、顧客動線とアイトラッキングに関するパスデータを収集するシステムの開発に取り組んだ。スーパーマーケットの店内販促の効果測定に関する調査の予備実験を行うことはできなかったが、顧客動線とアイトラッキングに関するパスデータの融合に関する基礎的研究を行い、消費者行動を分析するための基盤技術の開発に取り組むことができた。 2019年度では、アイトラッキング機能を持つ新たなVR機器が開発された。この機器は眼鏡を着用した被験者の視線を収集可能なことから、被験者の対象を広げるために最新の機器を用いたデータ収集システムの開発に取り組んだ。システムの開発に時間を要したが、調査実験の制約が緩和され、次年度以降の被験者の募集が容易になると期待される。 消費者行動の分析に関しては、予備実験を実施できなかったことから、すでに実店舗で収集した顧客動線とアイトラッキングのデータを用いて、これらを融合したモデル構築のための基盤技術の開発を試みた。本研究課題で収集するデータは、仮想空間で収集することから多様なストリームデータを収集できると予想される。一方では、実店舗で収集したデータから分析に使用できるストリームデータを生成するためには多大な労力が必要になるという問題がある。そのため、深層学習技術を用いて、アイトラッキングデータにおける消費者が注目していた対象をアイトラッキング機器で記録した動画から推定した。この技術により生成する消費者の視線に関するストリームデータは、本研究課題のシステムで収集するデータに似た構造を持つと予想される。したがって、今後は実店舗で収集したデータと仮想空間で収集したデータを比較しながら、消費者行動に関する分析に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に予定していた予備実験を行うことができなかった。しかしながら、最新のVR機器を用いたデータ収集システムの開発に先行して取り組み、さらに実店舗で収集したデータと仮想空間で収集したデータを比較して分析するための基盤技術の基礎的研究を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
システムの開発や実験設計は進んでいるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度に調査実験を行えない可能性がある。感染症の影響が長期にわたる場合、被験者のアイトラッキングデータは収集できないが、スマートフォンなどの多くの人が所有している機器を用いたデータ収集アプリケーションを開発し、簡易的なデータ収集を行うことで対処する予定である。また、実店舗で収集したデータを用いた基礎的研究を引き続き行い、顧客動線とアイトラッキングに関するデータを融合した消費者行動モデルの構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた調査実験を行えなかったため、次年度に使用することとなった。従来の予定通り、調査実験にかかる費用(被験者に対する謝金など)として使用する。
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