本研究の目的は、特定の製品カテゴリー(スマートフォンやデジタルカメラなど)を対象に、テキストデータ分析を行うことを通じて、製品評価の枠組みの変化を可視化することである。いわゆる、「画期的な新製品」や「改良製品」のような、曖昧ではあるがよく用いられる製品評価について、定量的に明らかにすることを試みるものである。この目的を達成するため、1年目はデータ収集及び前処理を行い、2年目(最終年度)にデータ分析及び成果報告を行う計画であった。 本年度は概ね研究計画通りの活動を行った。まず、1年目に収集・整理したデータに、若干の追加を加えてデータをアップデートした。その後、収集・整理したデータに対して分散表現を用いたテキストマイニングを行った。分析した結果を取りまとめ、学会全国大会での報告1件、論文1件を作成・公表した。 本年度および研究全体を通じた研究成果は、携帯電話カテゴリーの一部を対象として、製品評価の変化を可視化したことである。この成果の意義は、製品カテゴリーの一部など狭い範囲に限定することで、本研究において用いたテキストマイニング手法によって、「新製品」と「改良製品」を区別できることを提示できたことにある。学術的な観点から言えば、このような製品評価を客観的に区別できるようになることは、研究対象の明確化や恣意性を減らすことにつながる点で重要である。一方、実務的な観点から言えば、特定の製品について、消費者が「画期的」と受け取ったのか、「既存製品の延長線上」だと受け取ったのかを、可視化することができるという点で重要である。
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