研究課題/領域番号 |
19K13804
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
若林 隆久 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (80738576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットワーク分析 / 組織活性化 / 組織行動 / ソーシャル・キャピタル / コミュニケーション / コワーキングスペース / リモートワーク / テレワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、職場におけるネットワークが組織に与える影響を明らかにすることを通じて、どのようなネットワーク構築を促すことによって組織の活性化を実現できるかを示すことにある。ICTの発達によって取得可能になった大量の人間の行動データを利用する定量的手法に加えて、実務家との協働までに踏み込んだ定性的手法も実施することで、幅広い業種・職種の職場において実行可能な方策を明らかにすることを目指す。そこで、令和元年度には、下記のような活動を行った。 定性的な調査としては、職場やそこで働く人に対する調査を実施した。特に、国内外のコワーキングスペースやシェアオフィスなどの企業の枠をまたがって多様な人が集まる働く場所について、そこで働く人の働き方やそこで活動する組織も含めて、ヒアリング調査やフィールド調査を実施した。また、「組織におけるキャリアとワークスタイル」研究会を中心に、実務家に対する継続的かつ詳細なケース・スタディを実施した。企業を対象とした研究会や研修の場も活用して、実務家との対話や相互フィードバックを行った。定量的な調査としては、職場における行動データや質問紙調査のデータを基にした分析を進めた。 これらの調査研究と並行する形で、研究成果の一般に対する情報発信・活用を行った。情報発信としては、一般公開の研究会、学生や市民向けの講演会や公開講座、ローカルのラジオ番組、SNS、などにおいて情報発信を行った。研究成果の活用としては、大学での講義、企業向けの研究会、企業研修、などにおいて研究成果を活用し社会への還元を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究については、定量的な調査と定性的な調査ともに、順調に調査を進めることができている。特に、コワーキングスペースやシェアオフィスといった働く場所や、リモートワークやテレワークといった働き方など、新しく登場・普及してきている働き方や働く場所に関する定性的な調査を重点的に実施できた。その成果の一部は、『地方における新しい働き方と働く場所:群馬県内のコワーキングスペースを中心に』(高崎経済大学ブックレット③、https://www.tcue.ac.jp/leafpage/717.html)として発行することができた。また、定量的な調査についてもデータの分析を進められた。 一般社会への還元については、学術的のみならず実務的にも大きな意義を有している本研究の特色を活かすため、様々な場で研究成果に関する情報発信・活用を行うことができた。これまでも一般社会への還元には注力してきたが、特に学生や市民向けの講演会や公開講座、企業向けの研究会や研修、SNSやウェブサイトにおいて情報発信や活動の場を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査を進展させる形で、個人が持つネットワークと組織活性化の関係に関する定量的な調査と定性的な調査の両方を継続する。既に取得している調査結果の分析を進めるとともに、継続的に新たなデータを獲得していく。 令和元年度の調査研究によって構築できた調査対象との関係性も活かしながら、さらに定性的・定量的な調査を継続する。企業内の職場に関する調査研究も行いながら、新たに登場・普及してきている企業の枠をまたがって多様な人が集まる働く場所や組織についての調査研究にも力を入れ、ネットワークやリーダーシップをはじめとした組織を活性化させる要因を探っていく。 また、新型コロナウイルスの影響により、職場や組織に関して大きな変化が生じている。そこで、働く場所、働く人、働き方やそれらに対する意識の変化について明らかにすると同時に、特にオンラインにおけるコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップなどと組織活性化との結びつきを探っていく。
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