研究課題/領域番号 |
19K13820
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
篠原 欣貴 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (50781457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | social entrepreneurship / inclusion / gender |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「ソーシャル・アントレプレナーは社会的目的と経済的目的を達成する上で、どのような戦略を立てているのか、その戦略の立案プロセスに何が影響を与えるのか」を明らかにすることである。 昨年度集めたジェンダーに関するアントレプレナーシップの論文の内容から、本年度はジェンダーに関するアントレプレナーシップに関する研究の発見についてまとめた。例えば、女性のアントレプレナーはジェネラリストとしての特性を持ち、男性とは違って専門性の高い職歴を持っている傾向が低いことや、女性だけの創業チームの場合、男性だけや男女混合の創業チームよりもビジネスの商業化という点での意識が低い傾向があることが分かっている。とりわけ、この二つ目の特徴は、昨年度研究で明らかにしたソーシャル・アントレプレナーの戦略的志向性の結果と同様の傾向である。 また、昨年度は「なぜ女性のソーシャル・アントレプレナーに着目するのか、その根拠が弱い」という指摘を受けた。そのため、1986年から2021年の女性のアントレプレナーシップに関する研究を渉猟し、なぜ女性に着目する必要があるのか、その根拠について既存の研究がどのような根拠を示しているのかをまとめた。既存研究ではジェンダーに起因するアウトカムの差(例えば業績や企業成長など)やプロセスの差(動機づけ、職歴、学歴)が生じているのかを明らかにするとともに、その原因を探求している。本研究も戦略というアウトカムを導き出すプロセスを明らかにすることで、ソーシャル・アントレプレナーの研究に寄与するといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による影響で、予定していた定性的調査の進捗が遅れている。 一方、定性的調査の進捗が難しかったことから文献収集やその取りまとめを中心に行った。そちらの進捗は概ね良好である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は夏ごろをめどにインタビューの実施とその結果のとりまとめを行う。とりわけ、女性起業家のネットワークを通じてインタビューの依頼・調査を進めていくことを目指す。 インタビューの結果を取りまとめた後、秋から冬にかけて成果をまとめ、論文の投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により海外渡航ができなかったため次年度使用額が生じた。 コロナの状況も落ち着き、国内外の移動の制限も以前に比べて緩やかになってきたことから、こうした資金は国内外で行われるカンファレンスの渡航・宿泊費や、インタビューを行う際の補助としてアシスタント雇用のための費用として利用する予定である。
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