研究実績の概要 |
本研究の目的は「ソーシャル・アントレプレナーは社会的目的と経済的目的を達成する上で、どのような戦略を立てているのか、その戦略の立案プロセスに何が影響を与えるのか」を明らかにすることである。本研究ではまずソーシャル・アントレプレナーに関するテキストデータを収集し、テキストマイニングを通じて戦略の特徴を明らかにした。また、こうした戦略において男女差が存在するのかについても明らかにした。具体的には、女性のソーシャル・アントレプレナーがempowerment と inclusivity に関する戦略を立案する可能性が有意に高かった一方、男性のソーシャル・アントレプレナーは community development, business, innovation, and low cost といった戦略を立案する可能性が有意に高いということも明らかにした。また、本研究ではソーシャル・アントレプレナーへのインタビュー調査も行った。 最終年度においてはソーシャル・アントレプレナーシップに関する男女差についてのレビュー論文のとりまとめを行った。ProQuest、Web of Science、EBSCO host のデータベースを用いてソーシャル・アントレプレナーシップに関する論文のうち、女性に関するものを抽出した。6776件のデータが抽出されたが、そのうち Journal Quality Listに記載されているジャーナルの論文の論文のみを抽出した。その結果、72本の論文を抽出した。最後に、これらの論文に目を通してソーシャル・アントレプレナーとジェンダーに関する論文であるかを確認し、最終的に55本の論文を抽出した。こうした女性のソーシャル・アントレプレナーシップに関する研究の渉猟は今までされておらず、本研究がソーシャル・アントレプレナーシップの理論的貢献を果たすことにつながる。
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