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2019 年度 実施状況報告書

日本における楽器卸商と特約店団体の歴史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 19K13832
研究機関東京経済大学

研究代表者

田中 智晃  東京経済大学, 経営学部, 准教授 (50609188)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード流通史 / 商業史 / マーケティング / 楽器
研究実績の概要

本研究の目的はメーカーによる流通支配が徹底できない、日本の固有の状況は何なのかを解明すること。また、楽器産業における卸商と特約店団体の役割を検討し、日本の楽器産業に関する研究を深めることである。
2019年度に予定されていた研究調査は、①メーカー調査、②卸商調査、③特約店団体調査であった。①は主にヤマハの社内報を調査した。1947年に発刊された同社の社内報は、主にヤマハ社内と浜松市立図書館に所蔵されており、2019年12月号まで全て閲覧した。本研究に関連のある部分は資料リストを作成し、コピーも入手している。この調査によって、ヤマハは1960年代まで増産によるコスト削減を実施しつつ、音楽教室の展開などマーケティングにも力を入れてきたことが分かった。流通チャンネルの構築は家電業界の松下に見られたように系列下を図っていった。1970年代は国内市場が成長する中で、ヤマハは海外進出を積極的に行っていったことが分かった。その際に、日本で成功した流通やマーケティングの手法をそのまま海外に展開するのではなく、現地の商環境に合わせることで、成功裡に海外市場を開拓していった。特にアメリカでは現地化しつつ、西海岸の諸都市から全米へ展開してった。生産についても、台湾を皮切りに海外生産を進めていった。国内の流通やマーケティングが大きく変わるのは、1980年代からで、主力製品のピアノの需要に陰りを見せてからであった。このあたりの研究は、現在も継続中である。
①のメーカー調査ではインタビューも行った。ヤマハの他に、河合楽器に対してもインタビューを実施したが、さらなる調査が必要である。②は順調に進んでおり、卸商の社内にある「決算報告書」などの営業資料は概ね目を通すことができた。③は研究室内にあるヤマハ会の資料を整理、分類している段階で、まだ時間を要する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度の調査はおおむね計画通りに進んできたが、2020年2月から国内において流行し始めた新型コロナウイルスの影響で、2月後半~3月に予定されていた研究調査は実施することができなかった。所属大学の授業がないこの期間は最も研究を進められるはずであったが、予定をキャンセルせざるを得なかった。

今後の研究の推進方策

現在新型コロナウィルスの影響で、企業へのインタビュー調査はできない状況にある、また、企業内に所蔵する内部資料も閲覧できない状況が続いている。新型コロナウイルスがいつ収束していくのか不透明だが、最低でも半年は調査が遅れることが予想される。
2020年4月現在、大学の研究室も使えない状況であるので、当面の間はこれまで集めたデータをまとめる作業に取り掛かかりたいと思う。
また2020年度に予定されていた、日本流通学会などでの研究発表は来年度に延期する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響で、2020年2月~3月に発生するはずであった経費を使うことができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。

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公開日: 2021-01-27  

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