研究課題/領域番号 |
19K13835
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
赤松 直樹 明治学院大学, 経済学部, 講師 (40758801)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 逐次選択 / 目標コンフリクト / 快楽選択 / プロモーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ある選択がその後の選択に影響を及ぼす場合の消費者の内的メカニズムについて、小売業態や業種の多様性を考慮しながら解明することである。そのため、本年度は以下2つの研究を進めてきた。 一つは、主にショッピングセンターと飲食店を想定した上で、事前選択として快楽的な選択(例えば、衝動購買の実施、快楽的商品の購買)の実施が、その後の別の選択においても快楽的選択の実施を促すことを明らかにした。既存研究では、事前の快楽選択の「抑制」が、その後の快楽選択を促進する点を指摘していたが、本研究では、事前選択とその後の選択の関連性が高い場合には、事前の快楽選択の「実施」がむしろ、その後の快楽選択を促進する要因になる点を示した。つまり、既存研究の知見の拡張に貢献する知見である。この成果は、2020年度10月実施予定の国際会議(Association for Consumer Research)に投稿し、現在レビュー中である。タイトルは、"When Indulgent Choice Can Promote the Next Indulgent Choice"である。 もう一つは、事前選択の結果がその後の選択に及ぼす影響について、プロモーションの調整効果について調査した。既存研究では、快楽選択はプロモーション効果が生じやすい点が指摘されているが、消費者が事前に衝動購買(関連性の低い購買)を経験した場合には、当該快楽選択のプロモーション効果が減衰することが示された。この成果は、2020年度の国際会議(European Marketing Academy Conference)に採択された。大会自体は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったが、フルペーパーがプロシーディングスに掲載される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、既存研究レビューを進めつつ研究のフレームワークや仮説について検討した後、アンケート形式で実験調査を実施した。これは、当初予定していた内容であり、順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、アンケート調査だけではなく、実際の消費者の購買データを用いた調査や分析を実施する。新型コロナウイルス感染症の影響により、小売店舗における実地調査の実施が2021年度に延期になる可能性も考慮し、マーケティング調査会社が既に有している、POSデータなどの購買データの分析も進める予定である。また、既存研究のレビューを引き続き実施し、研究のフレームワークを改善していくとともに、アンケート調査による仮説検証も引き続き行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
仮説検証を目的としてアンケート調査を実施した際、想定していた金額よりも安価で済んだため。次年度では、新たな仮説検証のためのアンケート調査費用として利用したいと考えている。
|