研究課題/領域番号 |
19K13845
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
上山 晋平 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (30708334)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 予算管理 / 稟議制度 / 相互作用 / 責任共有 / マレーシア / 新型コロナウイルス感染症拡大 |
研究実績の概要 |
2021年度前期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、予算管理における稟議制度の意義について理論を構築するため、日本企業の予算管理実務の実態の研究について進めていた。その後、日本企業の中でも海外に進出するグローバル企業の予算管理実務の実態についても研究する必要性を感じ、とくにマレーシアに進出している日本企業が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける中で、いかにその制度を現地の企業に適用し、その子会社や関連会社、ジョイント・ベンチャーと相互作用を行っているのか検討を行った。 2021年10月より、マレーシアのマラヤ大学にて在外研究を行う機会を得たため、現地にて研究を進めている。現在、多くのグローバル企業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けており、現地でのインタビュー調査および文献調査により、マレーシアに所在する日系企業も同様の影響を受けていることが分かっている。このような状況において、状況の変化に対応するためには、親会社とその子会社や関連会社、ジョイント・ベンチャーとの責任共有、そして相互作用が必要とされ、予算管理は世界に展開する関係会社間の相互作用に役立つとされる。また、マレーシアに所在する日系企業と日本の出資元企業間の資本関係や相互依存関係には、様々なバリエーションが存在すると認識しているが、それが予算管理を通じた会社間の相互作用に影響を及ぼしているかどうかについても研究を行う必要性があることを認識した。今後、現地にて郵送質問票にもとづく実態調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、予算管理における稟議制度の意義について研究を行ってきたが、在マレーシア日系企業における適用状況を把握するため、10月よりマレーシアのマラヤ大学にて研究員として研究を進めている。11月には、JETROのクアラルンプール所長にインタビュー調査を行い、マレーシアの現在の経済状況について確認することができた。また、文献調査を進めるとともに、マラヤ大学のChe Ruhana Isa学部長に相談しながら、今後の郵送質問票調査に向けて、日本語、英語およびマレーシア語で記載された質問票を作成した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年5月から6月にかけて、『海外進出企業総覧(国別編)』に掲載の、日本企業が10%以上出資するマレーシアに所在する日系企業1,043社を対象に、郵送質問票調査を行う。その調査結果にもとづき、実態を解明し、理論を構築する。9月に日本原価計算研究学会第48回全国大会で報告を行い、論文を執筆する予定である。 在マレーシア日系企業における予算管理実務について、マネジメント・コントロール上の相互作用に着目して研究を行うことで、在マレーシア日系企業が、いかに予算管理のローカル化(現地適用と現地適応)を図り、日本の本社との相互作用の促進を実現し、グループ企業全体としてマレーシアと日本の両方の変化に対応しているのか実態を把握できれば、現代の日本的予算管理実務の特徴について新たな側面を見出すことができるのではないかと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査のための物品購入が増え、インタビュー調査を次年度以降に繰り越し、旅費が減ったため。
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