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2021 年度 実施状況報告書

日本企業における経営者能力-測定・原因・帰結-

研究課題

研究課題/領域番号 19K13848
研究機関一橋大学

研究代表者

河内山 拓磨  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (70733301)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード経営者能力 / 経営者予想 / コーポレートガバナンス / 財務政策 / 取締役会
研究実績の概要

本研究課題の目的は,日本企業における経営者の能力を定量的に測定し,その決定要因や経済的帰結(リアルエフェクトを含む)を多角的に検討することにある。本研究から得られる成果は,学術的貢献のみならず,日本企業経営者の受託責任や業務遂行能力について有益な政策的・実務的示唆を提示するものである。
研究プロジェクト3年目となる令和3年度では,当初の研究計画にもとづき,複数の英文ワーキングペーパーの執筆・投稿・修正および学会報告を実施した。第1に,経営者能力の高低が配当変化の将来利益予測能力に及ぼす影響に関する研究を進めた。令和3年度においてはワーキングペーパーの修正・再投稿を重ね,海外有力誌であるJournal of Accounting, Auditing, & Financeに掲載することができた。第2に,経営者能力の研究を進めるなかで発展的に着手していた取締役会の構成に関するワーキングペーパーについて投稿・修正を重ねた。具体的には,コーポレートガバナンス改革に伴う社外取締役の登用について分析を行い,海外有力誌であるEuropean Financial Managementに掲載することができた。第3に,資本市場による経営者評価について検討を進め,株主による議決権行使および株主提案の実態を分析するとともに,議決権行使助言会社の公表するガイドラインが経営者のキャリアコンサーンおよび経営行動に及ぼす影響を検討した。前者は国内学術誌である『會計』に掲載され,後者については国際学会での報告を行いワーキングペーパーの修正に努めた。
また,新型コロナウイルス感染症のもと国内外における学会参加を予定どおりに実施することはできなかったが,各大学や複数名の研究者が有志で運営している研究会やリサーチワークショップなどで研究報告を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

進捗状況はおおむね順調である。当初の研究計画書では,令和元年度に先行研究の収集・整理および経営者能力の測定手法に関する妥当性の確認を実施することが予定されていた。また,令和2年度では英文ワーキングペーパーの執筆を進め,海外査読付き学術誌への投稿を開始することが予定されていた。令和3年度ではこれまでの研究活動の成果として海外有力誌へ論文を複数掲載することができた。また,まだ公表論文には至っていないものの,ワーキングペーパーの執筆も進んでおり,最終年度である令和4年度における学術誌掲載に向けた準備を進めることができている。
なお,研究計画書で当初予定していた経営者能力の国際比較分析については,国際企業データベースの利用可能性の問題から実施が困難となっている。具体的には,利用予定であったデータベースの継続購入が予算上困難であり,本研究課題における検証テーマの一部についてその実施を断念している。しかしながら,上述のように当初予定していた検証テーマの多くについては順調に執筆・投稿ができており,これは研究課題全体に大きな影響を及ぼすものではないと考える。

今後の研究の推進方策

最終年度となる令和4年度の研究活動として,以下の3つを実施することを考えている。第1に,投稿予定にある英文ワーキングペーパーの修正である。令和3年度では海外有力誌への投稿を見据えた学会報告を行ったが,そこでいただいたコメントや改善要望を反映する。こうしたプロセスはワーキングペーパーを公表論文という成果に結びつけるうえで最も重要な段階であることから,十分な時間と資源をもって臨む予定である。
第2に,当初の研究計画にもとづき,経営者能力の帰結について多角的な検討を進める。具体的には,経営者能力の高低が企業の投資意思決定とどのように関連するかを検討し,経営者能力が企業運営の効率性にどのような影響を与えうるのかについてワーキングペーパーを執筆する予定にある。すでに関連文献の渉猟は終えており,パイロット分析を試みている段階にあるため,令和4年度ではワーキングペーパーを作成し海外学術誌への投稿を開始することを予定している。
第3に,学会や研究会への参加である。新型コロナウイルス感染症のもと学会へ参加できるかはいまだ不確定であるが,国内外を問わず,研究報告時間およびフィードバックが十分にもらえる機会を探索し,研究内容の改善に努めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画調書では,国際企業データベースの継続購入および国内外への学会参加を予定し,これらに係る予算を計上していた。しかしながら,データベースの継続購入が予算上困難であること,また,新型コロナウイルス感染症のもと学会参加が困難であったことから,残額が生じている。今後は当初の研究計画にもとづき研究設備を整備するとともに,学術誌への投稿およびこれに向けた準備に充当することを予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Drexel University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Drexel University
  • [雑誌論文] Unnatural selection of outside directors: Consequences of Japanese corporate governance reforms2022

    • 著者名/発表者名
      Ishida Souhei、Kochiyama Takuma
    • 雑誌名

      European Financial Management

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/eufm.12361

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Management Forecasting Ability and Predictive Ability of Dividend Changes for Future Earnings2021

    • 著者名/発表者名
      Chang Hsihui、Ishida Souhei、Kochiyama Takuma
    • 雑誌名

      Journal of Accounting, Auditing & Finance

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1177/0148558X211063247

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 取締役選任に関する株主行動の実態と影響2021

    • 著者名/発表者名
      河内山拓磨、岩田聖徳
    • 雑誌名

      會計

      巻: 199(6) ページ: 71-85

  • [学会発表] ISS's proxy voting guidelines and ROE management2022

    • 著者名/発表者名
      Souhei Ishida、Takuma Kochiyama
    • 学会等名
      JFA-PBFJ Special Issue Conference
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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