研究課題
若手研究
本研究の主たる研究成果は,次のとおりである.第一に,ある条件のもとでは,情報開示を強制することで,かえって企業内部の情報環境が悪化して企業の意思決定が非効率的になり,社会厚生が減少する可能性があることを示した.第二に,イノベーションの成果に関する情報の開示と製品市場競争との関係を分析し,製品市場競争が企業の開示行動に与える影響は,経営者が長期志向か,それとも短期志向かによって変わる可能性があることを示した.
会計学
第一に,どのような条件のもとで,情報開示の強制が社会厚生を減少させてしまう可能性があるのかを分析しており,社会的に望ましい開示規制のあり方に関する議論に資する結果を提示している.第二に,製品市場競争が激しくなるほどイノベーションの開示が促進されるような状況が存在すること,また,経営者が短期志向の場合のほうがイノベーションの開示が促進される可能性があることを理論的に明らかにしており,実証研究に対して1つの理論的な説明および新たな含意を提示している.