研究課題/領域番号 |
19K13862
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 哲弘 中央大学, 商学部, 准教授 (90707085)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地理的分布 / 実体的利益調整 / 実体的裁量行動 |
研究実績の概要 |
本研究は、企業の地理的な分布と会計情報の関係について分析することを主な目的としている。 本年度では、実際に企業の親子会社の地理的な分布と実体的利益調整行動についての研究を行った。より具体的には、一般のデータベースに収録された親会社と子会社の所在都市の情報から親会社と子会社が立地している緯度と経度の情報を取得し、そこから計算された親子会社間の空間的な距離を用いて、親会社と子会社それぞれの実体的利益調整について分析した。この結果、親会社と子会社の距離が離れるほど、子会社での実体的利益調整は行われにくくなり、逆に子会社での会計的利益調整が行われやすくなることが析出された。 本研究の仮説には、親子会社間の情報の非対称性や輸送コスト、国際取引の監視に関する制度など複合的な要因が考えられる。これらの調査が今後の課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、この研究全体の本丸と言える部分である。言い換えれば、親会社と子会社の地理的な関係が利益調整について与える影響を分析し、それが権威あるジャーナルから出版されたことで、当初の研究目的の大部分を達成できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画当初は、企業の地理的分布と会計情報の関係を分析することであった。しかし、その研究を進めるうえで、企業内部の意思決定や親子会社間の取引が、企業の地理的分布が会計情報に与える影響に関する極めて重要な要素であることが分かってきた。このため本年度はさらに研究を深めてこれらの課題を分析していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延により、研究環境の整備、特にデータベースの購入などを見送り、進捗中だった研究の完成を目指したため。次年度以降は当初の計画に戻り、PCやデータベースの購入を中心とした研究環境の整備を進める。
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