2022年度(最終年度)においては、2021年度において研究期間中に新たに課題として取り上げた新型コロナウイルス感染症の影響などに関する論点を最終的に整理し、アンケートシートを完成させた。それを受け、これまで新型コロナウイルス感染症の影響を加味してその実施を見送っていましたアンケートを実施した。 アンケート調査では、対象の医療法人を大規模医療法人および公益性の高い社会医療法人の合計248法人を対象に行った。調査結果として、医療法人に対する公認会計士または監査法人による外部監査を一定規模以上の法人に対して強制すべきとの意見が多く、監査実施の効果として、法人の透明性向上やガバナンス強化が意見の大半を占めた。 医療法人における内部統制に関しては、内部統制の重要性は認識しているものの、コストをかけることに対しては消極的な意見が目立った。また、内部統制の目的に関しては、財務報告に係る内部統制よりも医療安全や情報セキュリティ確保のための機能を内部統制に求める傾向があり、非営利組織体としての特徴が示された結果となった。さらに、内部統制に関する基本的要素の所感など具体的な質問も実施し、当初の想定とは異なり、リスクの評価と対応を重視する結果が示されるなど、現場レベルと研究者との視点の違いを確認することができた。 以上のような最終年度の実態調査結果は、関西監査研究学会(立命館大学)における自由論題報告にて報告をし、監査論、ガバナンスに関する研究者にその成果を報告した。
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