研究課題/領域番号 |
19K13894
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
倉橋 耕平 創価大学, 文学部, 准教授 (40783163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 男性不妊 / 男性学 / ジェンダー / 医療 / メディア |
研究実績の概要 |
本研究は、男性不妊に関連して、医学知識を動員して男性性を回復・復権させるメディア言説を分析することで、男性学が抱える課題を克服し、現代社会における男性性の規範的な在りようの一旦を解明するものである。これをめぐって、一般書・雑誌・エッセイ等にあらわれる医療言説がどのように男性性の回復を志し、男性性の再強化を正当化してきたのかを解明する。本年度は遅れていたテキストマイニングによる計量分析のデータ化の部分が大幅に進んだ。収集した上記資料のうち雑誌資料を画像データ化し、GoogleドキュメントのOCR機能を用いて縦書き文章をテキスト化した。それをKHcoderという計量テキスト分析のソフトに入れ、分析のテストまでを行った。まだすべてのテキストの分析ではないので、完全な結果ではないが、それにより客観的なデータとして最も引用される医師の名前、補完医療(漢方)と男性不妊の関係の強さ、男性不妊と驚きを表す単語が共起する傾向が鮮明となった。すべてのテキスト化を進め、より詳細なデータから分析を進めたい。他方、継続して収集している資料に変化もあった。昨年は映像作品(原作の映画化など)や小説、マンガや動画配信といった「物語」が増え、そちらの蒐集と分析も進めるため、文学研究者と意見交換をしたり、文学の分析手法を取得して新しい対象に臨むなど、試行錯誤を加えた。研究成果として報告できなかったことが悔やまれるが、これで資料と呼べるものはほぼすべて獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計量テキスト分析を行うためにどうしても人手が必要だったが、緊急事態宣言、まん延防止措置といった新型コロナウイルスの感染防止の観点から、アルバイト雇用を避けていた時期もあり、雑誌資料のデジタル化に時間がかかってしまったため、遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で最終年度とし、目標であった研究作業をすべて終えたいと考えている。そして、研究結果の一部を本学の紀要に査読付き論文として掲載を目指す。しかし、コロナのことも考えると医療現場での聞き取りは難しい状況であるので、それは実行できるかわからない。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会出張と計量研究に関わる人件費の使用が遅れたことが繰越の理由である。その分を次年度に回し、そのために使用する。
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