研究課題/領域番号 |
19K13899
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
加賀美 太記 就実大学, 経営学部, 准教授 (80734087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生活協同組合 / 社会関係資本 / 流通 / 共同購入 / 地域社会 |
研究実績の概要 |
本研究は,現代の消費生活協同組合における組合員の参加の再建が,その事業と地域の社会関係資本にいかに影響を及ぼすのかを,定性分析および定量分析の両面から探究することを目的としている.研究実施にあたり,(1)資料調査およびヒアリング調査に基づく組合員参加に関わる活動・制度の実態把握,(2)質問票調査による活動・制度の効果測定,(3)質問票調査による活動・制度の地域の社会関係資本にもたらす影響分析の3つを,具体的に計画している.令和1年度は,このうち(1)資料調査およびヒアリング調査を主に実施した.具体的な内容は次のとおりである. まず,資料調査については,全国の生活協同組合における組合員参加に関わる活動・制度の実態把握のため,一次資料の収集を日本生活協同組合連合会資料室の協力のもと実施した.結果として,各地生協の活動・制度に関わる資料については,ほぼ予定通り収集することができた.また,(2)と(3)の質問票調査の前提として,社会関係資本に関する各種文献の検討を行い,調査のフレームワークを検討した. ヒアリング調査については,組合員参加に関わる活動(名称:ホームパーティー)を実施している,千葉県のなのはな生協を訪問して調査を行った.調査の結果を踏まえて,同生協の活動と他生協の事例との比較分析を行い,紙面にて発表した. これらの研究成果は,現代の消費生活協同組合における組合員参加の実践の多様性を明らかにしており,今後の定性・定量分析に向けた重要なステップとして位置づけられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和1年度研究の当初計画は,(1)調査先における活動・制度に関する資料調査,および(2)各生協のヒアリング調査を実施することであった. (1)資料調査に関しては,資料収集の完了が当初計画よりも後ろ倒しとなったが,ほぼ想定した通りの資料を収集し,分析を開始することができた.なお,収集した資料分析は,引き続き令和2年度にも実施する。 また,(2)各生協のヒアリング調査については,調査先選定のための資料収集が計画よりも遅れたことから,令和1年度のヒアリング調査先は1ヶ所(なのはな消費生活協同組合)に留まった.引き続き,資料調査に基づいた調査先選定を進め,令和2年度に複数の生協についてヒアリング調査を実施する予定である. 当初計画から遅延した主な理由は,本研究が採択された令和1年度から所属の学科長に新任したため,計画時点の想定よりも管理業務過多となり,十分な研究時間を確保することが難しかったためである.ヒアリング調査の報告を公表するなど,研究自体は進展しているが,当初計画を踏まえた全体評価としてはやや遅れていると判断せざるを得ないと考える.次年度については,管理業務の負担軽減を図り,研究時間を確保して調査を進める.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度および令和3年度の研究計画は,資料と文献検討による分析結果を踏まえて,複数生協へのヒアリング調査および質問票調査を実施し,事業等における成果と地域の社会関係資本への影響を検討することである. 具体的に令和2年度については,令和1年度に収集した資料分析を継続し,ヒアリング調査先を複数選定した上で,ヒアリング調査を実施する.ヒアリング調査の結果と考察については,令和2年度内に学会・研究会にて発表する. また,訪問調査で得られた知見も踏まえて,事業等の成果と社会関係資本に関する調査票の設計を行い,年度内に質問票調査を実施する. なお,研究計画の実施とりわけヒアリング調査の実施にあたっては,社会情勢の推移を踏まえて,実施の時期や有無について慎重に判断することとする.
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒアリング調査が,当初計画した調査先数を下回ったためである. 令和2年度に実施するヒアリング調査にかかる旅費として使用する計画である.
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