研究課題/領域番号 |
19K13902
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
余田 翔平 国立社会保障・人口問題研究所, 国際関係部, 第2室長 (70749150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シングルマザー / 生活時間 / 貧困 |
研究実績の概要 |
本年度は、総務省統計局の「社会生活基本調査」の調査票情報の提供手続き申請を行ったとともに、同調査の匿名データのharmonized data(調査時点間の比較を容易にするために変数の標準化を施したデータ)を作成した。最終的には調査票情報を用いてシングルマザーの生活時間を記述することが本研究課題の目的であるが、調査票情報の申請手続き中には数ヶ月を要するため、その間匿名データを用いて予備的分析を行った。また、Oxford大学社会学部Man-Yee Kan准教授の生活時間に関する国際比較プロジェクトGenTimeに参加し、英国の生活時間調査であるThe United Kingdom Time Use Survey (UKTUS)と社会生活基本調査の比較可能性について助言を受けるとともに、東アジア諸国(日本・韓国・中国・台湾)の生活時間の比較研究に取り組んだ。その成果の一部として、生活時間のジェンダー差の長期的トレンドを東アジア諸国と西欧諸国とで比較し、(1)過去30年間の間に東アジアでは女性の生活時間の構造は大きく変化したものの、男性のそれは変化が極めて緩やかであること、(2)これは、女性の家事労働時間の減少を男性の家事労働時間の増加によって補ってきた西欧諸国の従来の知見とは大きく異なることが明らかになった。以上の知見は本研究課題の主たる研究関心であるシングルマザーに限定したものではないものの、シングルマザーの生活時間のトレンドを理解する上で比較対象となる重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、調査票情報の二次利用申請はスムーズに手続きを取ることができ、かつ匿名データの標準化(harmonization)も研究協力者の尽力によって概ね完了しつつある。また、生活時間研究の専門家であるOxford大学の研究協力者から、多くの生活時間調査データに共通する基本的注意事項と社会生活基本調査の特性について助言を受けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず、初年度に行った社会生活基本調査の匿名データの標準化コードをもとに同調査の調査票情報の標準化を行う。匿名データは1991年・1996年・2001年・2006年の調査データが提供されており、すでに標準化のためのプログラムコードを作成したが、調査票情報ではさらに2011年と2016年のデータも利用可能であるため、これら2時点の調査データの標準化に中心的に取り組む。その後、標準化されたデータセットを用いて日本のシングルマザーの生活時間の趨勢と異質性の記述に関する分析を進め、その成果を学会報告やワーキングペーパーの形でまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外出張が令和元年度から令和2年度にまたがり、令和元年度末時点で旅費の精算が終わっていないため。令和2年度に当該旅費を精算した後は、ほぼ当初の研究計画通り予算の執行を行う予定である。
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