ひとり親世帯の高い経済的貧困率はよく知られている。一方で、所得と並んで重要な資源である「時間」の配分について、ひとり親世帯と二人親世帯とでどれほど格差が存在するのかについては、データの制約もあり十分な知見が存在してこなかった。本研究では総務省「社会生活基本調査」の調査票情報の分析の結果、シングルマザーは有配偶男性ほどは有償労働に時間を割かず、家事・育児・介護等に割り当てる時間は有配偶女性よりも短いものの、両者を合計した総労働時間は有配偶男女よりも長いことが明らかになった。ただし、配偶関係による生活時間構造のこうした差異は1991年から2016年の間極めて安定的であった。
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