本研究は、1920年代後半から1930年代後半の普通選挙体制期において、「メディア議員(元ジャーナリストや新聞経営者などメディアに関係をもった議員)」が議会に歴史上もっとも進出した現象に着目し、この時期における世論形成メカニズムとその特質を明らかにすることを目的としている。本研究はその事例として『東京朝日新聞』出身の政治家・中野正剛を中心に分析した。中野正剛は政論家ジャーナリストとして活躍し、衆議院議員となってからも文筆と演説による言論活動を精力的に行い、世論形成を重視した。本研究は、中野正剛の生涯を軸にして、政治とメディアの力学の変遷と意義を解明している。
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