研究課題
薬剤性腎障害を含む急性腎障害は、近年増加傾向にあり、その一部は未回復でとなり、慢性腎臓病や透析導入へ至ることもある。これまでに急性腎障害の回避を目的とした新規治療法や予防法に関する種々の研究が行われてきたが、未だその対策は十分ではないのが現状である。そのため、急性腎障害、特に薬剤性腎障害の予防法の開発は、臨床上の大きな課題であるといえる。気温や湿度等の気象に関連する環境因子が各種疾病に影響を及ぼすであろうことは古くから経験的に知られており、これまでに様々な疾患と気象情報の関連が検討され、気象の変化と疾病が関連することは常識となりつつある。その一方で、気象と急性腎障害の関係については、これまで限定的にしか検討がなされていない。そこで本研究では、急性腎障害と季節性・気象情報の関連性を検証している。令和三年度は、レセプトデータから抽出した急性腎障害の報告件数と気象情報が紐付けられたデータセットを用いて、急性腎障害について、環境因子との関連の検討ならびにモデル作成を行った。その結果、夏季など気温が高い条件のほうが急性腎障害の報告が多いことを確認した。一方、モデル作成については現在のモデル作成条件では十分なモデルが作成できておらず、条件設定を現在を継続して行っているまた発展的な検討として、AKIのみならず糸球体濾過量自体が季節の影響を受けるのではないかという仮説を立て、検査値情報を含むデータセットを購入して検討した。その結果、推算糸球体濾過量が同一患者内でも季節により変動することを見出した。
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