研究課題/領域番号 |
19K13915
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
歸山 亜紀 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (50767358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん患者 / 闘病ブログ / 終末期 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、予見された死にむかって長く生きる「新しい終末期」におけるがん患者の経験を明らかにすること、これにより患者への理解や終末期の適切な支援のありかたに貢献することを目的とするものである。この目的を達成するために、本研究では患者本人が闘病体験を記したブログ(以下、闘病ブログ)を分析対象とした。初年度となる2019年度の研究計画の柱は、分析対象となる闘病ブログを確定し、そのテキストデータ収集および整形をおこなって、分析データセットを完成させることであった。 今年度は、まず、個人ブログのアグリゲーションおよびコミュニティ・ランキングサイトのひとつを利用して、収集対象となるブログのリストを作成した(6月末)。リストには、各ブログの著者の属性(性別、年齢、原発部位やがんの種類、有職/無職、家族構成など)も変数として加えた(~8月末)。その後、各ブログ内の記事の取得作業をおこなった。この作業は、初投稿記事から収集時点の最新記事までを、投稿日時も含めて網羅的に集めるもので、多くは手作業(コピー&ペースト)にて行ったが、一部webスクレイピング技術(webサイトからhtmlデータを収集し、特定のデータを抽出、整形しなおすこと)を用いた収集も行った。計画では、大部分をwebスクレイピングで行えると考えていたが、各ブログサービスによって、プログラムを書き換える必要が生じ、少々の軌道修正を行った。未だ整形、加工にもう少しの作業が必要であるが、おおむね計画どおりにデータセットを完成した。データセットの作成を目標としていたため、本研究データを用いた学会報告や論文等はないが、本研究の前身となる助成金の報告書を作成、公表した。また、関連研究であるインタビュアーの有無がデータにどう影響するかについての国際学会報告をおこない、その際にはテキストデータの収集・分析についての最新知見を得てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績に記載したとおり、2019年度の研究目標であったデータセットの構築をおおむね完了した。ただし、整形は途上である。データの構造がどのようになっていれば、分析上よいのかが現状では明確にできていないので、2020年度はやいうちに予備的に少ないケースで分析をおこない検討する。また、スクレイピングプログラムについては、作成にかかる手間を勘案しながら再検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年8月までに、データ整形を終えて、分析を開始する。年度後半には、本研究データの分析成果の一部を学会発表する。また、医学、哲学など他学問領域の研究動向、情報収集のためにこれらの学会に可能な限り参加する(2019年度は、参加を予定していたこれらの学会が台風、新型コロナ感染症の影響でことごとく中止になった)。さかんになりつつある当事者研究、病の語り研究における先行研究の渉猟と批判的検討も並行して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定していた学会出張が、新型コロナ感染症の影響で中止になったため、その旅費分が残った。2020年度も多くの学会が中止またはオンライン開催となる可能性があるため、それらも含めて旅費の執行計画を変更し、適切に執行する。
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