本研究は、弱者の救済やマイノリティの社会的包摂を訴えるはずの社会運動において、排除や差別を生み出すような作法や規範が生成・再生産されてしまうメカニズムを明らかにする。本研究は日本の社会運動をめぐる規範や作法が、労働や家庭での生活といった「日常」と、人々が集まって行うデモなどの組織的な「社会運動」を往還する中で形作られると想定し、分析を行った。 研究の結果、社会運動の規範は運動従事者が過ごす日常や参加する社会運動に加え、社会運動従事者が運動の現場に向かうまでの「移動」やメディアの注目を浴びる「公的機会」の中で生成されることが明らかになった。
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