研究課題
高齢化が進む現在、個々が主体的に健康の維持増進に取り組める仕組みが求められる一方で、自らの健康について気軽に相談できる場の不足や、SNSなどの普及に伴う信憑性に欠ける健康情報の氾濫などの課題がある。そこで我々は、豊中市、豊中市薬剤師会と連携し、健康サポート拠点として薬局が発信する正確かつタイムリーな情報が地域の健康維持・増進に貢献できるのかを明らかにすることを目的としている。令和4年度は、薬局から発信された健康情報の有用性をより感じている70歳代以上の地域住民に、情報発信を行う薬局の活用を促すため、薬局が日常的なアクセスを容易となる場所に存在する必要がある。さらに、薬局が地域の健康情報拠点となる可能性を探るために多くの地域住民を対象とした検証を進めていくこととした。そこで既設の7薬局に加え、豊中市薬剤師会に所属する80薬局を研究実施薬局とし、デジタルサイネージを設置した。研究実施期間中は継続してデジタルサイネージへのタッチが見られ、タッチ回数が多かった項目より、地域に密着した情報へのアクセスが多い傾向にあった。利用者は地域の情報を求めてデジタルサイネージにタッチする可能性が高いことが示唆された。また、クロス集計表の残差分析の結果、上位5項目の各圏域におけるタッチ数が有意に異なることが示されたことから、圏域によって閲覧された情報の傾向が異なる可能性が考えられた。したがって、デジタルサイネージのタッチログ解析がその圏域の薬局利用者層の希望を反映している可能性が考えられるため、より詳細に調べることで薬局利用者層のニーズに応じた健康イベントの実施など、地域住民の健康増進により貢献できることが期待される。
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社会薬学
巻: 41 ページ: 175~186
10.14925/jjsp.41.2_175