研究課題/領域番号 |
19K13959
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
中野 加奈子 大谷大学, 社会学部, 准教授 (30726047)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャルアクション / 市民運動 / ソーシャルワーク専門職 / ソーシャルワーク専門職養成 / ラディカル・ソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
2022年度もコロナ禍の影響を受け、計画通りのインタビュー調査を行うことが困難であった。そのため、年度内は主にソーシャルアクションの基礎研究及び裁判アクションについての検討を行ってきた。基礎研究については研究会で意見交換を行い、基礎研究内容を深めることに努めた。 その後、ソーシャルアクションへ参画する人々へのインタビュー調査は感染状況が落ち着き始めたこともあり、2月より調査を開始した。このインタビューでは、市民運動の歴史の中であくまでも問題に直面する当事者の主体的な運動として取り組まれてきたこと、市民の声が徐々に広がり運動へと展開する様子が語られた。 こうしたインタビューから、1)ソーシャルワーク専門職はどのようにして当事者の声を聞き、アクションへとつなぐことできるのか、2)ソーシャルワーク専門職は市民運動にどのような立場で関与可能なのか、という問いを立てることになった。特に2)については、ソーシャルワーク専門職は専門職であると同時に、同時代を生きる社会メンバーであり市民でもある。ソーシャルアクションへの関与においては、市民性を保持するソーシャルワーク専門職として、職業倫理と市民の主体性を両立させる必要があり、その両立を担保するためにはどのような教育・環境整備が必要なのか、検討する必要性が明らかになった。 また、イギリスで展開されてきた「ラディカルソーシャルワーク」についての論集である『現代のラディカルソーシャルワーク(Radical Socialwork today)』の監訳メンバーの一員として翻訳を行った。このことから、イギリスにおいてソーシャルアクションと日本のソーシャルアクションとの比較が容易となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ソーシャルアクション関与者へのインタビューはコロナ禍において、大幅に遅れた。特にインタビュー対象者が高齢であることから、感染予防のため対面でインタビューを行うことが困難であった。また高齢世帯にはオンラインでインタビューを行うための設備も十分ではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、生活保護基準引き下げ意見訴訟を「裁判アクション」の一事例として取り上げ、この訴訟の原告団・支援者などの活動を中心にインタビュー調査を行う。市民運動として当事者が主体となり取り組まれるこのソーシャルアクションを通して、ソーシャルワーク専門職が行うソーシャルアクションとの共通点と相違点、ソーシャルワーク専門職が果たすべき役割、ソーシャルワーク専門職がソーシャルアクションに取り組むための教育内容について検討を重ねていきたい。 また、ラディカル・ソーシャルワークの主張とソーシャルアクションの関連、日本とに比較について、海外の実践者・研究者との意見交流も図る予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナ禍の影響を受け、予定通りにインタビュー調査が行えなかったこと、研究計画立案当初に予定していた海外学会での報告・意見交換が実施できなかったため。 2023年度は、1)裁判アクションに関与する人々のインタビュー及びその分析を行い、ソーシャルワーク専門職がどのようにソーシャルアクションに関与可能か検討する。2)Social work action network Internationalなど海外でのソーシャルワーク専門職のソーシャルアクション状況について、動向を調査していく。これについては海外研究者との意見交換などをオンライン環境を中心に使用して実施する。3)これまでの研究成果は、日本社会福祉学会等で発表していく。
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